企業はいかにしてレピュテーションリスクに対応すべきか?

最終更新日 2024年11月19日 by asisps

現代社会はインターネットの普及によって、それ以前の時代とは比べ物にならないほど便利で豊かな社会になりました。

一方でインターネットの登場はこれまでになかった問題も引き起こしています。

その代表例が「炎上」と呼ばれる大規模な批判運動です。

 

炎上

炎上は主に個人や組織の犯罪行為や不適切な対応、暴言などによって発生します、こうした行為がインターネットユーザーの逆鱗に触れることで、犯罪行為を行った人間の個人情報の特定や、その人間が所属する職場へのクレーム、解雇要請、ネガティブキャンペーンなどが始まります。

インターネット黎明期は個人や企業のイメージダウン程度の被害でおさまっていた炎上ですが、近年ではネット人口の増加した影響や、社会全体の息苦しさ、生き辛さから多くの人間がストレスの捌け口を求めていることもあり、炎上の被害はエスカレートの傾向にあり、現在ではアルバイトの学生が思いつきで行ったいたずらよって、店が閉店に追い込まれたりするケースも珍しくなくなってきました。

こうした炎上を含む企業に対するネガティブなイメージが広まることによって生まれる経営上のリスクは、レピュテーションリスクと呼ばれています。

現代ではパソコンや携帯電話を使うことで、簡単に企業の情報を調べることが可能です。

そのため企業に対するイメージの拡散もまた早く、企業活動に対して大きな影響があるのです。

参考:レピュテーションリスクとは?企業のリスクを確実に回避する方法まとめ!

 

レピュテーションリスクが経営に大きな影響を与えた例

レピュテーションリスクが経営に大きな影響を与えた例として、よく話題に上がるのが牛丼チェーン店として有名なすき家です。

すき家は人件費削減の一環として、深夜から早朝にかけての時間帯をアルバイト一人に仕事をさせるワンオペレーションを行わせていました。

本来であれば複数人で対応するべき仕事内容を一人にやらせるとなれば、従業員にかかる負担は莫大なものとなります。

結果として過労のために居眠り運転を引き起こす者や、体調を崩して倒れる従業員からの告発が相次ぎ、すき家のワンオペレーションは連日テレビニュースでも取り上げられる社会問題となりました。

これによりすき家の企業イメージは「安くて美味しい飲食チェーン店」から、「従業員を奴隷のように働かせるブラック企業」へと変化します。

そしてブラック企業としてのイメージが定着したことで、正社員やアルバイトに募集してくる人間が激減し、これまでのように店を運営することが出来なくなり、多くの店舗が閉店に追い込まれました。

すき家の事例からも分かるとおり企業イメージの低下は、人手不足や人件費の高騰に繋がり日本を代表するような大手企業の屋台骨すら、簡単に崩してしまうリスクを孕んでいます。

そのため現代社会で活動する企業はこうしたリスクに適切に対応する必要があるのです。

 

レピュテーションリスクに対応するか?

それでは具体的にどのようにすれば、適切にレピュテーションリスクに対応することが出来るのでしょうか?
まず最初に行うべきは自社の評判がどうなっているか、常に把握しておくということです。

上記のすき家にしてもネット上で炎上する前から、ワンオペレーションによる過酷な労働への批判はありました。

もしもこの段階で何らかの手を打っておけば、それ以後の経営被害は大幅に抑えることができた可能性があります。

また問題が発覚した際の対応も重要です。

多くの企業の経営者や責任者がやってしまいがちなのが、保身のために問題を過小評価し自社の対応に問題はなかったと言い訳してしまうことです。

こうした言い訳はネット上では無責任な対応と取られがちで、炎上は沈静化するどころかより過激化していきます。

中途半端な言い訳は行わず、問題があったことについて素直に謝罪した上で、迅速に改善策を打ち出すことが大切です。

そして改善策を打ち出した際はこれを大々的にアピールすることも重要になります。

 

ワタミグループの例

これを上手く行った企業が居酒屋チェーンとして有名なワタミグループです。

ワタミもまたかつては「365日24時間死ぬまで働け」の理念の押し付けによって、従業員を過労死させるなどの不祥事を起こし、日本を代表するブラック企業として知られていました。

しかし創業者でありブラック企業的な働き方を礼賛する創業者の渡邉美樹が、政界進出のために経営から一時離れたのをきっかけに、抜本的な改革に取り組むとともにブラック企業の代名詞となってしまった「ワタミ」の名前をサービスから外し、再出発したことで「ホワイト企業特別賞」を獲得するまでに評価を改善、これを大々的にアピールすることで地の底まで落ちた企業イメージの回復に成功しています。

レピュテーションリスクの回避には少なからぬ費用が発生しますが、リスクの回避は企業イメージの向上とも連動しているため、結果的に求人費用の削減などによって投資した費用を回収できる可能性が高いです。

炎上によってこれまで積み上げてきた経営資産を台無しにしないためにも、大企業はもちろんのこと中小企業であっても積極的にレピュテーションリスクへの対応は行うべきです。